入学式から数日が経ち、ほんの少しリリアンという学校に慣れてきた…私って結構順応性高いんだなって、自分の事ながら感心した。
学校生活に余裕が出来ると自然意識は周りに向く。
今のところ、クラスで私は孤立と言う程ではないが少し浮いているような感じ…親しいのは志摩子だけで話かけてくるクラスメイトはいるが、そこから発展することは無い。
そして…頼みの綱(?)である志摩子は、あの入学式の日から様子がおかしい様な気がする。
うんまぁ、原因は聖さんとの出会いなんだろうなぁ…って勝手に思ってる。
傍から見てても何て演出的な出会いだよって思うもんな~あんなシチュエーションでの出会いって中々無いでしょ?
心此処に無いような志摩子を見ながら…これって恋なのかね?いやいや、志摩子に限ってそれは無いか?でも症状的には近い物が…う~んわからん…
ボウっと考えこんでる様子な志摩子を観察しながら弁当を食べる。
今いる場所は、入学式の放課後に見つけた静かで銀杏の木のある穴場(志摩子的に)。
「ふぅ…」
黙々と弁当を食べていると、志摩子が溜息を吐く。
「志摩子」
「…?どうしたの夕貴?」
飛んでいた志摩子の意識が私に向く。
「どうしたの?じゃなくてさ…目の前で、んな重い溜息吐かれると凄く気になるんだけど…」
聖さんとの出会いが志摩子に何を齎したのか、それは志摩子にしか分からない…私が口を出しても大して役にも立たないと思うのだけど…幼馴染のこんなに思い悩む姿を見て、何もしないではいられない。
「………」
「志摩子がそんな状態になったのって、聖さんと会ってからだよね?何がそんなに志摩子を悩ませているのか私には分からない、けどさ…行動しないと現状は変わらないよ?」
「聖…さん?」
「あの桜の下で会った人の名前だよ…フルネームは佐藤 聖、三年生だそうな」
そう言えば、志摩子に聖さんと話したって事言って無かったな。
「佐藤…聖さま…白薔薇さまだったの……、でも…私自身どうしたらいいのか分からないの…今聖さまに…白薔薇様に会ってどうしたいのか…」
少し俯き…静かに語る志摩子に…私は黙り込む。
「そっか…なら仕方ないか、まあ焦る事は無いしね」
「ごめんなさいね…夕貴にも心配を掛けてしまって」
「んにゃ心配してるのは私の勝手だしね…けど、志摩子は笑顔が綺麗だから…笑ってて欲しいってか…あー…私は何恥ずかしい事言ってるんだ…」
言っている途中から恥ずかしさが込み上げてきて、私は少し熱い頬を指で掻く。
「ふふ…、ありがとう夕貴」
照れている私を見て、志摩子は優しい笑顔を浮かべる。
「ん~あ~…そう言えば!!白薔薇って何の事なんだ?」
その笑顔に更に照れてしまい話を変えるように、気になった事を聞いてみる。
「え?…聖さまの事は知っているのに、白薔薇さまの事を知らないの?」
「はあ…?聖さんの事は本人に聞いたけど、白薔薇なんて言葉は出てこなかったぞ?」
志摩子は「本人に聞いた」の所で驚いたのか、目を見開いている。
「本人って…?」
「あの志摩子が走って行っちゃった後、少し話したんだよね~んで聖さんと友達になったんだ」
まぁあれ以来会って無いけど…学年が違うと中々会う機会って無いもんだ。
志摩子以外で、リリアンの中に出来た初めての友達なのに…寂しいのう。
「………ともだち?…夕貴…聖さまとお友達なの?」
「うむ、会ったのは一回だけだけどねー…それで白薔薇って何なのさ?」
「あ…白薔薇さまはリリアンでは山百合会って呼ばれているリリアン生徒達の代表よ。山百合会は生徒会と同じ物で、赤薔薇さま・黄薔薇さま・白薔薇さまの三人とその妹である蕾の方々、蕾の妹で構成されているの…聖さまはその白薔薇さまを務めていらっしゃるの」
「ほほう…じゃあ聖さんは実はお偉いさんだったと?あちゃ~…やっちまったぜ」
そんな事とは知らずって言ってもやっちまったものは仕方ないし…気にしないでおこう、うん。
「夕貴…何をしたの?」
自分に心の中で言い聞かせていると、志摩子がとてもイイ笑顔で聞いてくる。
「え”っ………ツッコミと下ネタを少々…」
その笑顔に恐怖を感じた私は、素直に白状してしまう。
「…はぁ…夕貴…」
少し呆れた様に溜息を吐いた志摩子は、それ以上何も言わず弁当を食べるのを再開する。
溜息とノーコメントは何気に傷つくよ志摩子っ!?付き合いが長いからこその放置…志摩子がこんな対応するのって私位だよね…喜んで良いのか、悪いのか…
ションボリと私も弁当の残りを食べる、私はMじゃないから放置プレイは喜ばないんだぞ!!と内心で滂沱な涙を流した。
[2回]
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2010/03/10
二次創作…マリア様に眼潰し(連載中)
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