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2025/06/25

マリア様に眼潰し5


今日は新入生歓迎会、お聖堂でおメダイという小さなメダルをかけてもらう…らしい。
私達のクラスは李組の後、順番を待つ。
 
(おぉ…マジで聖さんってお偉いさんだったんだな…)
 
前方におメダイをかける山百合会の人達がいて、そのメンバーの中に聖さんの姿を発見する。
しかもこのまま進んで行ったら、私は聖さんにおメダイをかけてもらう事になりそうだ。
あの時の爆笑していた印象が重ならない程、澄ました表情をしておメダイをかけていく聖さん…ああしてる所を見ると、生徒達の代表なんだなって納得出来た。
 
しかし、山百合会のメンバーって美人ばっかだな~眼福眼福。
 
ぼけーっと美人な山百合会メンバーを眺めていると、あっという間に私の番が来た。
 
「マリア様のご加護がありますように」
 
そう決まり文句を口にする聖さん、でもその表情は先程までの澄ました表情とは違い、何処か笑いを含んでいる様に感じた。
頭を下げ、聖さんにおメダイをかけてもらい頭を上げる時に視線を合わせ…ニヤリと私は笑う。
そして視線だけで、紅薔薇さまだったか?の所に並んでいる志摩子を聖さんに教える。
聖さんもそちらをチラリと見て、私のお節介にだろうか…小さく苦笑を漏らした。
 
 
まあ何がしたかったんだ?と問われても答えられないけど、志摩子も聖さんもお互いが気になって仕方ないみたいに感じる。
でも、二人とも最初の一歩を踏み出す事が出来ずにいるんだと思う。
何か切っ掛けがあればいいんだけどな…
 
そんな事を考えながら聖さんの前から離れた私…しかし、私達のそんな様子を見ていた人がいたなんて、私は気付いていなかった。
 
 
 
あの新入生歓迎会から一週間、現状は変わりなく…ただ過ぎていった。
しかしその放課後の事。
 
「志摩子~今日は委員会ないんだよね?一緒に帰ろうぜい」
 
鞄を持って志摩子の席に行き声を掛ける。
 
「ええ、帰りま「志摩子さんと夕貴さんにお客さんがいらっしゃてるわ」…お客さん…?」
 
返事を返そうとした志摩子の言葉に、私達を呼んだクラスメイトの言葉が被る。
 
「誰だろ?…ありがとう」
 
私に思い当たる人はいない、志摩子に目を向けると志摩子もいないのか首を横に振る。
志摩子一人が呼ばれるなら、委員会関係とかで心当たりがあるかもしれないけど…二人セットで呼ばれるっていうのは…まあ考えても仕方ないので、取り次いでくれたクラスメイトに礼を言って志摩子と二人で私達を呼んだ人のいる、教室の外に向かった。
 
 
教室の外で私達を待っていたのは、髪の毛を三つ編みにした生徒。
 
「志摩子さんと…夕貴さんね?」
 
開口一番に本人か確認された…志摩子は中等部からリリアンにいるからお互い知ってるかも知れないけど、私は初対面だからな。
 
「「うん(はい)」」
 
「あのね、一緒に来ていただけないかしら。委員会活動とか、今日はないでしょう?」
 
その初対面である私まで何処に連れて行きたいんだ?というか誰なんだ?
 
「どちらに?」
 
志摩子が私達の返事を聞かず歩き出す三つ編みちゃんに聞く、微笑んで答える三つ編みちゃん。
 
「薔薇の館に」
 
「薔薇の…」
 
簡潔なその答えに志摩子が息を飲んだ。しかし私にはさっぱり分からない。
 
「えぇと…薔薇の館って何?」
 
仕方なく素直に聞くと、私の問いに三つ編みちゃんが目を見開いて驚いている。
 
「薔薇の館をご存じではないの?あっ遅くなってしまったけど…私は島津由乃よ」
 
今更ながら自己紹介をしてくれる、三つ編みちゃん改め由乃さん。
 
「あぁ由乃さんね、それで恥ずかしながら…まだまだ知らない事ばかりでね、良ければ教えてくれるかな?」
 
「そう言えば、夕貴さんは外部入学者だったわね…それで薔薇の館はね、簡単に言ってしまうと生徒会室と同じものよ」
 
生徒会室に薔薇の館なんて仰々しい名前が付いてるのか…うぅむ…ややこしい。
こんな話をしていると、いつの間にか目の前には古い木造の二階建て洋館。由乃さんはその洋館の扉を開け中に誘う。
 
「勝手に入っていいものなのでしょうか?」
 
少し不安そうに由乃さんに聞く志摩子、確かに生徒会室に無関係な一般生徒である私達が断りも無しに立ち入るのは気が引ける。
 
「え?…あぁ」
 
それを聞いた由乃さんは、おもむろにセーラーカラーの内側に手を入れて緑色をしたロザリオ…かな?を見せてくれた。
それって何か意味があるのか?いや、わざわざ見せるからには私の知らない意味があるんだろうけど…。
 
 
「私、入学式の日より支倉令さまの妹になりましたの」
 
…支倉令って誰?そう思った私だけど、何だか知ってて当たり前の様に話す由乃さんに聞くのは憚られた私はその疑問をスルーしておく。
 
「ほうほう、そうなんだ…んでその生徒会室に、一般生徒である私達が呼ばれたのは何で?特に問題を起した覚えなんて無いんだけどな…」
 
「私は何故二人が呼ばれたのかは聞いていないわ、迎えに出されたのが私なのは志摩子さんの顔を知っているからっていう理由だもの」
 
薔薇さまでちゃんと知ってるのって聖さんだけだしな…でも聖さんがわざわざ人を使って私達を呼び出すとは考えづらい。
 
「それは、白薔薇さま……?」
 
志摩子も、それを疑問に思ったのか由乃さんに聞く。
 
「いえ、待っていらっしゃるのは、紅薔薇さま達」
 
話しながら薔薇の館に足を踏み入れる。
館内は外観と同じように古びていて、それこそ階段なんて足を掛けると…今にも崩れそうな音がする。
 
「この階段大丈夫かな…今にも崩れそうなんだけど、一人ずつ上った方が良くない?」
 
不安から、思わず提案すると由乃さんが苦笑する。
 
「もっと多い人数で上っても大丈夫だったから、崩れないわよ…多分」
 
最後に付け加えられた『多分』に、由乃さんも少しはそう思っているという本音が見えた。
 
三人で、階段をギシギシ言わせながら上りきり、階段から続く廊下の先にある茶色い大きな扉を由乃さんがノックした。
 
「藤堂志摩子さんと風見夕貴さんをお連れしました」
 
「御苦労さま、入っていただいて」
 
由乃さんが扉の中に声を掛けると、そう返事が返ってきた。
扉を開けた由乃さんに、促され私達は部屋の中に足を踏み入れる。
 
「藤堂志摩子です」
 
そう言って挨拶する志摩子、私もそれに習う。
 
「風見夕貴です」
 
頭を下げてから、私達を呼んだ人達を見る。
ふむ、お聖堂で少し見たけど…改めて近くで見るとホントに綺麗な人達だ…聖さんも綺麗だし、目が肥えてしまいそうだね~まあ身近に志摩子という美少女がいたけどタイプの違う美人達で圧倒されちゃうよ。
 
私達を招き入れた、紅薔薇さまと黄薔薇さまは椅子から立ち上がり
 
「お呼び出しして、ごめんなさいね」
 
「ちょっとお話を伺いたくて」
 
そう言って、椅子を引き私達二人は強引に腰を下ろさせられた。
なんとも…有無を言わせない強い人達だな~とこの短い時間で思い知らされる。
紅薔薇さまと黄薔薇さまの顔には柔らかい笑顔が浮かんでいる…が、その笑顔の裏では何を考えているのか…私にはわからなかった。

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2010/07/14 二次創作…マリア様に眼潰し(連載中) Trackback() Comment(0)

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